「砂利の向こう側から逆方向にLEDライトを1台設置しただけなのですが、茶ノ木の向こう側も、ハイゴケも全く荒らされませんでした。」

「驚きですね。それでは、『イノシシは目をつぶったのではなく、口で息をしながら後ろ向きで忌避剤入りの湯のみ茶わんの防衛線を突破した』という仮説が正しいということになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。茶ノ木の裏の対策をなにもしないで、裏庭の砂利の向こう側から庭に向かってLEDライトを1台設置したのは、その仮説が正しいかどうか検証したかったからです。」

「なるほど。口で息をしながらについては、イノシシに聞かないと分からないでしょうが、後ろ向きで侵入していたのは確かですね。今回は、後ろ向きで侵入しようとしたが、新しく設置したLEDライトの方に向かなければならないので、侵入をあきらめるしかなかったということですからね」と町会長。

「おっしゃる通りです。後ろ向き侵入仮説だけでなく、イノシシの線的な行動仮説も、再度、実証されたことになります。これで忌避剤を使えば、早朝も侵入できないので、イノシシ対策は完成したことになります。」

「湯飲み茶わんに入れた忌避剤は1ヶ月以上経ったものでしたよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。イノシシに対して2ヶ月有効という忌避剤もあるので、現実的な対策がようやくできるようになったと思いました。」

「ところで、その状態で何日ぐらい観察したのですか」と町会長。

「実は、翌日は晴れていたのですが、翌々日が雨でした。次の日の早朝イノシシが来なかったので、イノシシは防衛ラインを突破できないと判断しました。そして、イノシシが侵入を完全にあきらめる前に、次の実験をすることにしました。」

「前日が雨で、3日後イノシシが来ないからといって、今後絶対来ないとは言えないのではないでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかしながら、今までの経験だと、雨が降ると必ず翌日には現れています。雨が降るとミミズが地表に出てくるためです。」

「なるほど。雨が降ってミミズが地表に出ている状態でも、逆向きのLEDライトを見なければならないという状況下では、猪は好物のミミズをあきらめてしまうということは言えますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。それでイノシシが侵入を完全にあきらめると次の実験ができなくなるので、この実験は打ち切りました。忌避剤は有効期間が長いもので2ヶ月です。少なくとも、数年は有効な対策を発見したいと思っていました。」

「もしかして、数年は有効な対策というのは、孟宗竹を5本地面に並べるという話ではないでしょうね」と町会長。

2019/12/21